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学会英文機関誌のご案内


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学会英文機関誌となったAsian Pacific Journal of Dentistry

日本大学歯学部歯科補綴学第V講座 松村英雄

はじめに
 日本歯科技工学会はかねてから会員が機関誌に英文で報告を行う際の方法論について検討を重ねてきた.学会学術大会においては,日本語と併記で英語演題と短い英文抄録の提出を求め,国際歯科技工学術大会においては,英和の抄録作成をお願いした.しかしながら,学会発表の内容を英文論文として出版できる雑誌は発行されていなかった.Asian Pacific Journal of Dentistry (APJD) は創刊以来20年以上に亘って歯科技工分野を含む論文を出版しているが,2020年に日本歯科技工学会がAPJDを機関誌として採用するに至った.そこで本項ではAPJDの概要について解説する.

学術雑誌に掲載される論文の分類
 学術雑誌に掲載される論文は和英を問わず,総説 (review),原著論文 (original article),症例報告 (case report),技術論文 (technical article),短報 (short communication)などに分類される.APJDは歯科技工を含む歯学に関連するこれらの論文を掲載対象としており,ホームページは国立研究開発法人科学技術振興機構 (JST) が運営するデータベースであるJ-STAGEの内部に設置されている

投稿から出版までの流れ
 APJDの概要を表1に示す.投稿から出版までの基本的流れは他誌と同じであるが,英文雑誌の場合,著者と編集者との通信文も英文で書くことを求められる.これが,投稿者にはかなりの負担となるため,学会に対する特別措置として,著者全員が日本人である場合に限り通信を日本語で行うことを可としている.特に統計処理については改訂の説明を日本語で記述する方が理解しやすいため,解説的意味も含めてかかる運用としている.

学会が英文機関誌を設定することの意義
 日本の学術団体で雑誌を発行していない学会はないと思われるが,英文雑誌を発行している団体は多くない.理由の一つとして,英文論文は国際誌へ投稿との暗黙の了解がある.当法人の会員にも権威ある国内外の雑誌に英文論文を発表している方がおられるが,その苦労は並大抵ではないものと推察される.したがって学会がAPJDを機関誌としたことにより,会員にとっては敷居が低く,手軽に投稿できる雑誌が一つ増えたと考えていただければ幸いである.

おわりに
 英文論文の内容を数行以内で簡潔に表すのが論文の表題である.英単語を並べて表題とし,その後本文を記述する場合,是非とも欧米の用語集1)等の掲載単語を使用し,日本人が創作した日本英語を使用しないことをお勧めする.

文 献
1) No authors listed: The Glossary of Prosthodontic Terms: Ninth Edition, J Prosthet Dent 117(5S): e1-e105, 2017.

 

Asian Pacific Journal of Dentistry (APJD) https://www.jstage.jst.go.jp/browse/apjod/